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Johnny One Time

うさぎと犬と似非哲学者がダラダラとカオスな日常を綴るどうでも良い空間。

外国に出るということ

夏のイタリア。鐘の音が鳴り響く街。教会に入ると荘厳なパイプオルガンが聴こえてくる。古代遺跡のど真ん中に鳴り響くヴァイオリンの音。ルネサンス彫刻に彩られた噴水が涼しげな広場のウッドベース。走る地下鉄列車内でギターの弾き語り。夜のバールにはアコーディオン弾きのおじさん。

イタリアに限らないと思うが、欧州は芸術の宝庫である。適当に石畳の道を歩くだけで、様々な歴史的建造物、美術品、音楽に出会える。

日本から1万km離れた欧州では、同じ先進国とは思えない、意外なほど古いものを大切にする文化が根付いている。

幕末から明治にかけて、列強の脅威に晒され開国とともに『文明開化』を迎え、それから1世紀足らずで第二次世界大戦に敗戦し根こそぎ全てを奪われた日本と比べるのは酷なのだろうが、欧州に行くたびに世界の裏側に働く強い力と意思を感じる。世界のリーダーを自称する米国にはない歴史を持ち、その歴史が生み出した様々な文化は宗教的背景も含めて、何かに守られている、そんな気がするのだ。

欧州だけではない。日本以外のほぼどのような国を訪れても思うことが一つある。世界中の、日本以外の国には、日本が奪われ、そして失ったものが当たり前のように存在しているのだ。

ボロボロになった第二次世界大戦後、たった数十年で極東の小さな島国は世界第二の経済力を誇る先進国となった。今でこそ、中国やインドといった国に負けてしまっているが、それでもたった100年前までキモノを着てチョンマゲを結い、カタナを振り回して戦っていた日本人が、一気に世界のトップ2までのし上がる文化的な暮らしを手に入れたということは、他の先進国にとって脅威ともなっただろうし、発展途上国にとってはパイオニアのような存在になったことだろう。

海外に出ても、どの国でも必ず見かける日本車。ホテルの空調、テレビをはじめとする家電製品は、遠く離れた欧州の先進国でもたくさん見かける。自国の製品よりも日本製は優れていて安全、安心だとよく言われる。その技術力と農耕民族で元来が働き者である気質によって、幕末から明治にかけても一気に欧州列強に追いつき、戦後もまた米国やソビエトに追いつき追い越した部分がたくさんある。そんな、日本から輸出された様々な製品を見るたびに、日本人に生まれたことを誇りに思う。

欧州の芸術は憧れであり、その素晴らしい美術品や音楽を肌で感じられることは、なによりも幸せな経験となる。しかし一方で、日本もまた独自の文化と国家を守り抜いてきただけに、他の国からは憧れや尊敬の目で見られる場合がある。

そして、なにより日本に生まれ日本人であることで助かり、先人に感謝の念が自ずと湧いてくるのはパスポートの強さである。テロが横行する昨今、ここ数年間でも毎年渡航するたびにチェックが厳しくなっていくのを実感する。しかし、それでも日本人、日本のパスポートを持つ人間にはまだまだ優しい。

ちなみに、パスポート強さランキングというものがあって、まぁ要するに国力だったり、国に対する信頼度の高さが分かるランキングなのだが、これは観光目的の短期滞在でビザを取らずとも渡航できる国がいくつあるか、多ければ多いほどランキングの上位に位置するというものである。1位はドイツ、スウェーデンで157カ国。世界199カ国で検証した結果なので、ドイツやスウェーデンのパスポートを持つ人々は、なんと世界の8割にビザなしで渡航できるというわけだ。3位〜8位は同率でフィンランド、イタリア、スイス、フランス、スペイン、英国。156カ国のビザなし渡航が可能。9位〜13位はデンマーク、オランダ、ベルギー、韓国、ノルウェー。155カ国のビザなし渡航可。韓国つぇぇ。14位〜18位はシンガポールルクセンブルク、オーストリア、ポルトガル、米国。154カ国のビザなし渡航可。そして日本は19位、ギリシャアイルランドと並ぶ153カ国。ランキング上位のほぼ全てがヨーロッパという中で、アジアは韓国、シンガポール、日本のみ。そう考えると、この3国の世界的な評価が見えてきます。つまり世界的な信頼度としては、他のアジア圏から群を抜いて高いということ。一方で、世界がどれだけ欧州を中心に回っているかというのも見えてきますね。大好きな国だけど、何回行っても何故この国が世界でここまで持ち上げられているのか理解できないのがヘタリアもといイタリア。バチカンがあるならなのでしょうけど、本当いろんな意味でイタリアの強さは意味不明。

話が逸れてしまいましたが、基本的に海外へ行くとその国の素晴らしさを目の当たりにしたうえで、さらに日本人であることの素晴らしさを再認識し、日本人に生まれたことを誇りに思うのです。

ただ、そんな素敵な日本を抜け出して海外へ行ったらいつも感じる残念なこともいくつかあります。特に、先進国のはずである欧州に、なぜか先進国日本が失った大切なものが残されているように思います。それは挨拶の文化。

昭和の尻尾に生まれたわたしの記憶には、お店で買い物をするときにひたすらへりくだって挨拶やお世辞を言う店員さんしかありません。そして、その彼らに対して横柄な態度を取る客の多いこと多いこと。お店に入る時に目を合わせて挨拶するなんて、日本でしたことは殆どないような気がします。しかし、ひと昔前の日本では、八百屋や魚屋でお店のおっちゃんに挨拶する、「今日は良い天気だねー」「本当に。」「あれ、今日●●ちゃんは?」「今日から夏休みでおじいちゃんの家に行ってるの。」そんな、普通の会話が店員と客側に、当たり前のように発生していたそうです。、母や祖母から聞いたり、ドラマや映画でそのような光景を目にするたび、最近の日本からはなくなってしまった素敵な習慣だな、と考えていたものです。